旦那様は征服者~慎神編~
「で?
なんで、勝手に会ったの?」
「だからね!王子の好きな人を見たかったの!」

「言ったよな?
莉杏は俺だけのモノ。
俺以外の奴が、莉杏を見る、声を聞く、話す……
そんなの吐き気がするって」

「本気なの?」
「本気だよ」
「僕を捨てるの?」
「新汰を捨てる気ないよ」
「ほんと?」
「新汰は、永遠に俺の親友だよ」
慎神が、胸のネックレスを見せる。

「…………わかった…ごめんね、王子。
寂しくて……」

「ううん。
僕こそ、ごめんね…新汰。
中、入って。莉杏を紹介する」
慎神が、新汰の頭をポンポンと撫でた。
「いいの?」
「うん…」


「新汰、僕の愛する奥さんで莉杏だよ。
莉杏、親友の新汰。
京極組の若頭なの」
ソファに向かい合って座っている、慎神・莉杏と新汰。
新汰の後ろに、豹磨が控えている。

「改めて、初めまして!京極 新汰だよ。
後ろは、豹磨って言って僕の部下」
「………」
莉杏は慎神にしがみついていた。

「大丈夫。挨拶してあげて?」
慎神が頬を撫でながら微笑む。

「初めまして、莉杏です。さっきはすみませんでした!」
「ううん。ごめんね、怖い思いさせて!
怪しかったよね?僕」
「はい」
つい、本音が出てしまう莉杏。

「やっぱり?(笑)」
新汰は、笑いながら言った。

「あ、ごめんなさい!」
「ううんー、確かに怪しいよね!
でも、必死だったの。王子が僕を捨てるんじゃないかって思ってたから」
「あの……王子って…」

「慎神ってさ……王子みたいでしょ?」
「え?」
「カッコいいし、頭いいし、優しいし、それでいて強い!」
「はい」
「で、莉杏ちゃんは姫君!」
「そんな…////
あ……」
莉杏は、新汰のネックレスに目が行く。

「何?」
「世界に二つしかないネックレス」
「あ、これ?」
新汰が、自身の胸のネックレスに触れる。

「はい」
「いいでしょ~羨ましい?」
「す、少し…////」

「でも…そんな、いい物じゃないよ」

新汰が悲しそうに顔を歪めた。
その表情は、慎神と同じだった。

「きっと、苦しい何かがあるんですね?
そのネックレスには…」
「知らないの?莉杏ちゃん」
「まだ、話してない」
「そう…
莉杏ちゃん、知りたい?」
「え?でも……」
莉杏は慎神の様子を窺う。


「このネックレスは、無能を殺した証だよ」
慎神が、静かに言った。


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