旦那様は征服者~慎神編~
「な、何これ…////めっちゃ…可愛いんだけど?
ねぇ、莉杏。
もう一回言って?」
「………」
「……って、寝てんだから言うわけないか…!」
その日慎神は全く寝れず…また寝言を言わないか、ひたすら耳を傾けていた。


「慎神くん、朝からカレーで良かった?
ちゃんと、朝ごはん作るよ?」
夜が明けて、朝食に夕食に食べるはずだったカレーを食べている慎神。

「いいの!昨日、食べれなかったし。
それよりも、今日はいい子でお留守しててね?
来客は、必ずモニター確認すること!
いつでも、連絡ちょうだい!」
「わかった」

「慎神くん、これお弁当!お仕事、頑張ってね!」
「うん!ありがと!行ってくるね!」
「うん…」
何故だろう。
やはり、寂しい……

「莉杏?」
「やっぱ、寂しいね…」
「………」
「……はっ!!!ご、ごめんね!
私、何言ってるんだろ?
えーと…行ってらっしゃい!」

慎神は無言で、莉杏を抱き締めた。
「僕も、寂しい…莉杏と放れたくないよ」
「うん…」
「あいつ(専務)のせいで、莉杏が寂しい思いをしてる。
やっぱ…許せねぇな……」
莉杏は、圧迫感に包まれていた。

「あ、慎神くん!違うの!」
「ん?何が違うの?」
「寂しいけど、お仕事だからしょうがないでしょ?
だから、専務さんのせいじゃないってゆうか…」
「は?専務のせいだよ!あいつが無能だから!だって僕は本来、休みだし!莉杏と映画行く予定だったんだよ?」
「うん…実は、楽しみにしてたの……」
「そうだよね!ネット、よく見てたもんね!」
「それもだけど…慎神くんと…その…デート…////
久しぶりだったから/////」

「うん!じゃあ…仕事終わったら、デートしようか?
夜外食しよ?」
「え!?いいの!?
慎神くん、外食…と言うか外出嫌いでしょ?」

莉杏は慎神と外でのデートをあまりしたことがない。
それは、慎神が莉杏を晒したくないと言って嫌がるからだ。
とにかく屋敷に閉じ込もることを好む。

「いいよ!今日、莉杏を寂しい思いさせたし。
でも、いつものレストランだけど…!」
「うん!ありがとう、慎神くん!」
「うん!じゃあ、行ってきます!」
莉杏は心底嬉しそうに、クローゼットに向かった。

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慎神が会社に着くと、エントランスで専務が出迎えていた。
「社長!!本日は、本当に申し訳ありませんでした!」
「…………俺は無能な人間が、嫌いだ!次はねぇから!!」
「あ、あと!これを……」
専務が、封筒を渡してきた。

「何?これ」
「社長のご結婚祝いに、社員一同からです」

「金?」
「いえ…結婚祝いのパーティーを催したくて、その招待状です。是非、奥様と━━━━━」


「奥様って……莉杏を?お前等に晒せって言ってるの?」
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