秘密のノエルージュ
もちろん、やましいことなど何もない。菜帆が見ていたのは過激な画像ではなく、女性用下着のブランドサイト。王手の衣料品通販サイトや、アパレルブランドのSNSアカウントと何も変わりはない。
けれど先輩は、明らかに誤解している。
「菜帆ちゃんって、意外とえっちだね?」
「!?」
ふ、と笑うその声を慌てて否定する。
「ち、ちがいます……!!」
顔から火が出る、というのはこういう事なのだろう。自分でも顔が真っ赤になっているのがわかる。慌ててぶんぶん首を振ると、先輩がにこっと笑顔を作った。
隣に座っていたこともあって、身体をちょっと傾けるだけですぐにその距離は縮まってしまう。そして内緒の話をするように、菜帆の顔の傍で声のトーンを落として、囁かれる。
「でも俺、いやらしい子好きだよ?」
「!!」
「菜帆ちゃん、胸大きいし。触ってみたいと思ってたんだ」
ぞわり、と。
全身の産毛が逆立つ気がした。その奇妙な感覚を何処かへ逃そうとしたが、失敗して口元がひくっと引きつってしまった。火照っていた顔の熱が急激に冷えていく。
菜帆の表情を確認した先輩が、怪しい表情でクスクスと笑う。
「なんてね、冗談冗談」
「……」