秘密のノエルージュ
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「コンプレックスを埋めてくれる存在って、大きいよね」
「ん?」
その日の夜。色々な事をぐるぐると考えているうちに無性に甘いものが食べたくなり、菜帆は一人コンビニへ足を運んだ。
そこでたまたま帰宅が遅かった大和に遭遇したので、マンションまでの道のりを並んで帰る。
「可愛い下着は確かに趣味でもあるけど、私にとってはすごい大事なものでもあるもん」
菜帆の気落ちを見抜いた大和に『聞いてやるから話せよ』と促され、今日起きた出来事と愚痴をぜんぶ聞いてもらった。自分が楽になりたいがために大和を巻き込む狡猾さは感じていたが、大和は菜帆の愚痴を真剣に聞いてくれた。
話すと楽になるというのは本当だ。特にアドバイスがあったわけではないけれど、胸につかえていたものを吐き出せばすっきりとした気分になれた。それに大和の顔を見たら、何だかほっとして気が抜けてしまったのだ。
「大和って、からかいはするけど、否定したり馬鹿にしたりしないよね。私の趣味」
「しねーよ。……ていうか、むしろ感謝してるから」
「うん? ……感謝?」
意外な言葉が聞こえたので、そっと顔を上げる。隣にいた大和と少しだけ見つめ合う。大和は低い声で『あぁ』と頷いたあと、視線を逸らして前を見た。