秘密のノエルージュ

 大和は《《まだ》》彼女ではない女の子にプレゼントを贈りたいと考えていて、それにはどんなものがいいかと聞かれていた。というより、下着を贈るから参考意見を聞かせて欲しいと言われていた。

 でもそれは、やっぱり危険だ。

「アクセサリーでいいじゃん。女の子好きだよ?」

 もう一度当り障りのない回答を示すと、大和が『うーん』と困ったように腕を組んで首を捻った。

「でも菜帆は、アクセサリーより下着の方が喜ぶだろ?」
「そりゃ……私はそうだけど」
「すべての女子が、アクセサリーを一番喜んでくれるなら苦労はしない」
「喜ばない人の方が少数派だと思うけど」
「一番嬉しい?」
「え、いや……いちばん……かどうかは、わかんないけど」
「だろ? 世の中には菜帆みたいなトリッキーな奴がいるから困ってるんだよなぁ」
「トリッキー言わないで」

 失礼な。別に意表をつこうとか、奇をてらっているわけではない。世の中にはアクセサリーよりも本が好きな女の子もいるし、雑貨の方がいいと言う女の子もいる。下着を喜ぶのだってそれと同じようなものだ。

 もちろん自分が普通と比べて変わっていることは、自覚している。けれどそれはそれとして、大和には一度ちゃんと『それは気持ち悪いよ』と言ってあげた方がいいのかもしれない。

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