秘密のノエルージュ

 下心は見え見えだし。もしどうしても下着をプレゼントしたいにしても、のちの事を考えたら他の女子の意見は取り入れない方がいいだろう。

 お気に入りのランジェリーブランド『WHO-LILL(フリル)』の公式サイトから視線を外し、大和の横顔を見つめる。近寄ってきていた愛犬の頭を撫でていても、大和の表情は真剣そのものだった。

 大和が一生懸命に悩んでいる事はわかった。数日前に菜帆の心のもやもやを聞いてもらった時と同じ、真面目な顔をしていたから。

 そこでふと気が付く。

 大和の恋が成就したら、菜帆と大和は今より少し距離を置かなくてはいけない。大和の好きな子がどんな子なのかは知らない。同じ大学の友人なのか、菜帆が知っている高校時代の同級生なのか、大和のバイト先の知り合いなのか。

 けれどどんな子が相手だとしても、彼女がいる人の隣に別の女の子が居座るわけにはいかない。たとえ同じ建物内に住んでいる幼なじみだとしても、休みの日にお互いの家を行き来する仲だとしても。

「……ずいぶん変な子、好きになっちゃったんだね」

 そう思ったら、つい余計な一言を口走ってしまった。大和に対するからかいにしても、失礼な冗談だ。余計なお世話もいいところ。

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