秘密のノエルージュ
「だから言ったじゃん」
その変な人が、やけに真面目な声で呟く。後退りし始めていた身体をその場に留めるように、菜帆の手首をあっさりと掴む。そのまま自分の方へ意識を向けようと、ぐっと手を引っ張られる。
「聞けば、告白になるって」
「……」
真剣な瞳とばっちり目が合う。
話が、急激に繋がる。質問を大幅に短縮してきた理由にも気付く。
大和の好きな人は、わざわざ確認して聞くまでもなく、下着を贈られて喜んでくれる相手だったから。だってそれは紛れもない、菜帆自身だから。
「クリスマス、菜帆がいちばん喜ぶものを用意したい」
「や、やま、と……」
「俺、菜帆が好きだから」
常にべったりという訳ではないが、異性の友人の中では最も慣れた存在のはずだった。けれど親やきょうだいではないし、親友と呼べるほど密接な関係でもない。
なのに緊張してしまう。大和に向けられる感情を認識した瞬間に、身体が強張る気配がした。
この穏やかな関係性が崩れてしまうかもしれない。そう気付いた瞬間、急に現実が遠くに感じて、思わずその手を振り解いて立ち上がってしまった。
「ごめ、ん……バイトあるから……行かないと」
「菜帆」