秘密のノエルージュ



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 メッセージや電話が来るかもしれないと思っていたが、その後大和から連絡が来ることはなかった。もちろん本人が家まで訪ねて来ることもない。

 思いがけない告白から咄嗟に逃げてしまったが、家に帰ってから、そしてバイトが終わってから冷静になって色々と考えた。

 ただの幼なじみだと思っていた大和に、特別な意味で好かれていた。クリスマスに菜帆が欲しいものを贈りたいと言われた。その真剣な眼差しが、嬉しかった。

 大和は菜帆の悩みと趣味を知った上で受け入れてくれる。菜帆も大和が他の誰かと付き合うかもしれないと思ったら、急に胸が苦しくなった。彼に恋人が出来るかもしれない事を、面白くないと感じてしまった。

 理由はきっと、菜帆も大和を特別な意味で好いているから。

 ――あれ、じゃあ私たち両想いじゃん。

 公式に当てはめるだけの簡単な問題なのに、答えに辿り着くのに深夜まで時間を要した。

 恋をするってもっとわくわくして、一分一秒が楽しくなっちゃうものだと思っていた。少なくとも今まではそうだった。

 けれど大和が相手だと何かが違う。ワクワク楽しい気持ちじゃなくて、なんだかそわそわと落ち着かなくて、今までの関係が壊れてしまうそうな不安もあって……

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