大安吉日。私、あなたのもとへ参りますっ!
 その後二人で『指輪交換』をして、(さかき)の木に紙垂(しで)を取り付けた〝玉串(たまぐし)〟を神前にお供えする『玉串奉奠(たまぐしほうてん)』へと移る。

 『玉串奉奠』には細かい手順作法があって、それを間違えないように行わないといけなかったので、日織(ひおり)的に一番緊張した作業だった。

 でも、ここでもやっぱり落ち着いた様子で日織を引っ張ってくれる修太郎のお陰で、思ったほどテンパらずに済ませることができた日織だ。


 式の間中、日織は修太郎にキュンキュンさせられっぱなしで。

(修太郎さんと結婚できる私は本当に本当に幸せ者なのですっ!)
 と心の底から思った。


 巫女さんが両家の繁栄を祈る舞を披露してくれている間も、日織はチラチラと隣に座る修太郎を見詰めてばかり。


 時折その視線に気付いた修太郎から、「僕がついていますから、そんなに気負わなくても大丈夫ですからね?」と小声で言われるから、余計に「修太郎さん、大好きなのですっ! 一生付いていきます!」という気持ちが高まってしまった日織だ。

 お陰様で日織の世界は修太郎一色に染められて。

 親族を代表して天馬(てんま)氏が『親族盃(しんぞくはい)の儀』で御神酒(おみき)を飲む姿や、修太郎と日織、それから両家の面々へ向けられた『斎主祝辞』の辺りはほぼ上の空で臨んでしまった。



 でも、何はともあれ――少なくとも表面上は――何の滞りもなく、無事に式は終わって。

 大安吉日の今日この日より、日織は名実ともに修太郎の元へと嫁ぐことが許された。
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