ズルい男に愛されたら、契約結婚が始まりました


ずっと気になっていたことの真実がわかって、友哉はホッとしている。
従兄弟の恋人にキスしてしまった罪悪感は、酷く彼の心を悩ませていたのだ。

(彼女は、航大の恋人の妹だった)

友哉の胸の中にあった黒い霧が、パアッと晴れた気がした。
彼女がフリーなら、自分にもチャンスがあるかもしれないという気さえする。

「なに? さっきからなにを思い出してるの?」

また真理恵が気になったのか話しかけてきた。

「真理恵さん、放っておきましょう。友哉にもやっと気になる女性が現れたんでしょう」
「えええっ? 長続きしないことで有名な友哉さんに?」

正直な言葉だとは思うが、友哉は面白くない。

「酷い言葉だな」

「だって遊んでばかりだからいつまでも落ち着かないんだって、親族が集まると言われてるわよ?」

「親戚の中で俺の扱いはそんなもんか」

「ま、これまで遊び過ぎてましたから、身から出た錆でしょう。友哉、なるべく早く身を固める相手を探すんですね」

三上は学生時代からの友哉を知っているから遠慮がない。

「わかった、わかったよ」

「じゃあ、私のお友だちとのお見合いをセッティングしましょうか?」

「それだけはやめてくれ。相手くらい自分で探すさ」

友哉は簡単に言うが真理恵も三上も難しいだろうと思った。
だが、なにも言わなかった。
友哉が自分で相手を見つける日を、期待せずに待つことにしたのだ。





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