ズルい男に愛されたら、契約結婚が始まりました
再会



諏訪湖は、信州でも一番大きな湖だ。
四季を通じて様々に表情を変える水面の美しさも格別で、いつも観光客で賑わっている。

近くにある諏訪市は工業の盛んな街でもある。
古くは製糸業が。それから精密機器の工場が数多く散在している。

友哉が欲しかった製薬工場が、ここにあった。山崎(やまさき)製薬というまだ新しい会社だ。
社長の山崎淳史(やまさきあつし)は、諏訪湖のほとりにある古いレンガ造りの工場を買い取り最新鋭の機器を導入して、製薬工場を作り上げていた。

まだ若い社長が経営する会社だが、アイデアも技術力も兼ね備えている。
社長のルーツは北陸地方で、実家が昔から薬の販売業をしていただけあって業界にも詳しく将来有望な会社だと判断したのだ。

友哉は彼を見込んで、新事業のパートナーに選んだ。
今は高齢者向けの飲みやすい薬を中心に作っているが、国産の新薬を作れる企業に育てたい。
新薬の開発には時間もお金もかかるが、まずは海外で開発された薬の委託生産から始めるつもりだ。
いずれは海外資本に負けない企業になって欲しいと友哉は願っていた。


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