一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「おかえりー! かんぱーい!」
「かんぱい」
私たちはお酒やおつまみを買い込んで、遥の部屋に行っていた。
遥の部屋は、会社近くの1LDK。
何度も来ているうちに、遥が、私の歯ブラシや替えの下着なども置いとけばいいよと言ってくれて、私はそれに甘えた。
私にとっては遥の家の方が実家のような存在だ。
ちなみに遥は私の7つ年上で、藤製薬で研究者として働いている。
飛び抜けて優秀な遥は大学もちろん国内トップ。中高一貫校も国内のトップクラス校。その中でも優秀だった遥は、大学からの引き抜きの声もかかっていたらしいのだが、私の父がどうしてもと交渉した。その交渉には私まで駆り出されたものだ。
遥は、その際、年休が多くてきちんと取得できないといやだ、もっと給料が欲しい、リフレッシュ休暇もないと海外に遊びに行けない……などと色々言った上にきちんとそれで父を納得させた。そこが、しっかりものでちゃっかりものの遥ならではのエピソードで、私が尊敬しているところ。
私はこの遥のことを昔から心から尊敬していた。
誰に対しても分け隔てなく優しくて、いつも凛としている。
遥は海外旅行が好きで、海外を飛び回ってはいつもいろいろな話を聞かせてくれたし、その潔い性格と美貌から彼氏も途切れない。私も男なら、間違いなく遥と付き合いたい。女でも付き合いたい。
そういう人だ。
遥はすぐに一杯目のグラスをのみ干してテーブルに置いた。
私はそれにワインを注ぐ。
「でも、今日良かったの? 遥、デートの予定だったんじゃないの?」
「彼氏はいつでも会えるし。久しぶりに沙穂と飲むためにデートを断ったら怒るような彼氏はこっちから願い下げだって」
私からすると私にないものをすべて持っているのだが、嫌味がないのが遥のいいところで、だいすきなところだ。
彼氏との約束より私との約束を優先する辺りも遥らしい。
私はそれがちょっと自慢だった。
私のこと、一番に考えてくれているようで……。