一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「で、どうだった? 憧れの初めてのお一人さま海外旅行は。色々と大変だったんでしょ?」
また遥がグラスの中身を豪快に飲み干し、その空になったグラスにワインを注ぐと、私は口を開いた。
「うーん、大変なこともあったけど、楽しかった」
私はローマの旅を思い出して、にんまりする。「あっちで優しい人に出会って」
(本当に、すごく素敵な旅だった)
私が言うと、遥の目が怪しげにきらりと光る。
「それ、まさか男?」
「え、う、うん。よくわかったね……」
そういうと、ピシリと私の鼻の前に指をさされた。
「沙穂、その男に惚れたんでしょ」
「いや、まさか」
「うそだ」
遥の目は私の目を射抜いた。
私は嘘がつけない。遥には特に。
思わず、うぐっ、と声を詰まらせると、遥を見る。
遥は、牛丼だそうか? と笑う。
私は、いらない、と言って息を吐いた。
「……さすが」
「沙穂は嘘が下手だから顔見れば一発でわかるのよ。顔に書いてあるわ」
(さすが百戦錬磨の遥だ……)