一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「そっ、そんな人じゃないし! そんな相手の弱みに付け込むような人じゃ……」
めちゃくちゃ格好良かったけど、やらしい感じはなかった。
ただ優しくて、気を遣ってくれただけだ。
―――沙穂もこれまで誰かに親切にしたことがあるだろ? それを返してもらっただけと思えばいいよ。
あんな素敵なことをさらりと言う人。
まぁ、そもそもそんな対象に私はされてなかったし……。
それについては、ちょっと私はいじけ気味だ。
遥は、ふふふ、と笑う。
「でも泊めてもらったんでしょ?」
「うん、ちゃんと鍵のかかるベッドルームだった。他にもベッドルームがあって、割と広いアパートメントだった」
「広いって?」
「大きな5つのホール、4つのベッドルーム、バスルームも2つあったかな。海外ってやっぱり家も広いのね」
私が言うと、遥は手を横に振る。
「そんなことないよ! たぶん、それ、相当なお金持ちだわ」
「え……そうなのかな? まぁ、大使館の人と知り合いっぽかったから、そういう関係の人かな……。あ、でも日本の企業の社員だって言ってた」
私が言うと、遥は首を傾げる。
「日本の企業? なんて名前よ?」
「会社はわからないけど、名前は氷室鷹也さん」
「ヒムロタカヤ……」
遥はロボットのように繰り返すと、突然顔を青くして次は遥が立ち上がった。