一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない

「そういうことは、先に言ってくださいよぉ……！」
「緊張するかと思って」

　さらりと鷹也さんは言う。

「そうだけど……」

　鷹也さんに連れられ、ソフラルの現会長、そして前会長と英語で何とか挨拶を交わした。
　軽い挨拶だったけど、私は緊張のあまり、鷹也さんの方ばかり見ていた気がする。

　鷹也さんは気後れすることもなく専門用語を使った英語で話し始め、私は内容も分からずに心の中では泣きそうになりながらなんとか横で立っていた。
　
（やっぱり私はまだまだだよねぇ……仕方ない、もっと城内さんにしごいてもらわないと……）

　そんな泣きそうな私に気を使ったのか、前会長が優しく微笑んでカクテルを手渡してくれる。
　私はお礼を言い、一緒に乾杯をしてそれを飲むと、まるで孫でも見るように前会長は目を細めて私を見ていた。