一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
 鷹也さんが話し終わって離れた後、私はほっと息を吐く。
 
「緊張させたよな、ごめん」
「ううん。大丈夫」

 さっきいただいたお酒のおかげで少し気分が紛れていた。妊娠を気にして最近お酒を控えていたが、今は生理の終わりごろだから問題ないだろう。

 とはいえ、飲みすぎないようにだけは気を使って一杯だけにとどめたが……。
 ソフラル前会長に、感謝だ。

 そんなことを思っていると、秘書を3人連れた鷹也さんのおじいさま、つまり、ヒムログループ会長がやってきて、声をかけられる。その秘書たちの中に、城内さんもいた。

(城内さん、会長が来るなら先に教えてくれたらよかったのに!)

 私がぎりり、と睨んでも、城内さんは素知らぬ顔だ。
 私は慌てて会長の前に行く。

「ご無沙汰しております。結婚のお祝いもいただき、ありがとうございました」
「あぁ。それより、子どもはまだか?」

 開口一番にそう問われて、私は慌てて申し訳ありません、と頭を下げた。
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