一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない

 大使館のパーティーは、大使館の中で行われた。
 規模としては150名程度。

 何人か見知った顔にあいさつした後、鷹也さんが私の手を引いて、ある女性の元に私を連れて歩き出た。

「鷹也」

 女性は鷹也さんの名前を呼び、手を上げる。すごく綺麗な女性だ。
 整えられた茶色のロングヘア―が艶々と光っている。
 パープルのドレスに足が綺麗に見える10㎝ほどの上質なビロードのハイヒールを履いていた。

「鷹也さん、あの方は……」

 会ったことない、と思いながら顔を上げると、その女性の隣にいるのが安曇さんであることに気づいて、私は言葉に詰まる。

 そんな私を気にもせず、鷹也さんは私を連れて前に歩み出た。

(まさか、でも……)

 鷹也さんは私を女性に紹介する。

「紹介する。俺の妻の沙穂」
「あ……あの」

「フェミル製薬副社長の福本貴子です」

 そう女性が……貴子さんが告げて、私は戸惑った。

「へ……」

 だって、あの写真で見た『Takako』という女性と……違うのだ。
< 79 / 108 >

この作品をシェア

pagetop