second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



「そんなこと・・・ない。だって、伶菜ちゃんも・・・日詠クンも・・・ふたり・・・ふたりとも・・・幸せそうじゃない!!!!」

『それは自覚した涙・・・日詠さんのことを本当に諦めなきゃいけないって。だから俺はあなたにその動画を見せたくなかった。奥野さんに切なくて苦しい想いなんてさせたくなかったから。』


動画を見ながら流した涙が嬉し涙なのかそうでないのか・・・それについて俺と言い合いしている間。
それだけではなく、俺が彼女にその涙の理由を自覚させるような言葉を投げつけた後も彼女の頬には涙が流れている。


その涙はもう嬉し涙なんかじゃない
その涙、そしてこれから彼女が流すであろう涙はすべて
俺が拭ってやる

そんな決心も俺の心の中で増えていく。
膨れ上がっていく決心に俺は背中を押され、一歩前へ出る。


『でも、忘れさせてあげます。そんな想い。』

「えっ?」

『今日はまだ終わってない。だからそんな夜があってもいい。肌に触れられて、拭い切れない切なくて苦しい想いを飛ばす夜があっても。』


どんな手段を使っても
彼女の2番目の恋を始めるのは自分なんだ・・・と。




『雅さんをひとりで今夜という時間を過ごさせたくない。今日、傍にいた俺は。』

今夜、また涙を流すであろう彼女の涙を
拭ってやるのも自分だけなんだ・・・とも。


そう思えるぐらい俺の中では今日1日で彼女との心の距離が縮まっている感触があった。
だからこそ奥野さんはこの時、俺の手を取ってくれる
そう思っていた



けれども

「橘クンにそこまで大切にされる資格、あたしにはない・・・だってあたしは日詠クンのことを忘れるために好きでもない人に抱かれ続けている。人肌が恋しくて・・・情けないけど。だから・・・」

彼女は俺を幻滅させようとしてその言葉を振り絞るように紡いだ。

< 108 / 200 >

この作品をシェア

pagetop