second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
彼女が安心して眠りに就くのを見届けようと思っているのに
俺が先に寝オチとかダメだろ
どうしても瞼が上がらない状態でもなんとか意識を飛ばすまいと堪えている俺に聞こえてきた声。
「恭・・・ありがと。初詣。それと・・・こんなあたしを大切に抱きしめてくれて。」
俺が眠ってしまっていると思って話しかけているらしい雅。
多分、俺がここで目を開けたら、今から彼女が言うであろう続きの言葉を遮ることになるだろう。
だからこのまま目を閉じて黙ったまま耳を澄ます。
「こんなにも血が通っていて、大切にされたセックス・・・ホントに初めて。」
俺も初めてだ
ココロまで大切に抱きしめたいと思ったセックスは・・・
「こんなにも女性に生まれたことを感謝したことなかった・・・恭のおかげ。」
俺のおかげは言い過ぎだとは思うけれど
女性に生まれたことを感謝するきっかけになっていれば嬉しい
「でももう午前1時・・・もう“明日”なんだ・・・」
明日か・・・
正直なところ、今、考えたくないよな、明日のこととか・・・
このまま時間が止まればいいのにって・・・俺はまたそう思っている
でも、今日がスタートになればいい
「終わって欲しくなかった初詣は本当にもうおしまい・・・だから新しい恋を見つけなきゃね・・・恭のことを・・・本気で好き・・・になる前に・・・。」
は?
新しい恋を見つけるとか
俺のことを本気で好きになる前にとか
雅はそんなことをいちいちしなくてはならないのか?
今、この時にそれを見つけて
本気で俺を好きになればいいんじゃないのか?
今日がスタートなんじゃないのか?
「橘クンはあたしみたいな自ら堕落して行った女よりも、もっとまっすぐにあなたと向き合って恋をする素敵な女性が似合うんだから・・・」
まっすぐに俺に向き合って恋をする素敵な女性
それは雅のことだろう?
それを今すぐに目を開けて
強く彼女を抱きしめてそう言ってやろう
そう思って目を開けようとした直前。
突然降って沸いたような疑問だらけ状態の俺に聞こえてきたのは
『だから、恭とは、昨日で・・・バイバイ・・・』
涙が入り混じったような、今日一番切ない雅の声だった。