second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



『はい、どうぞ・・・・すみません、お忙しい時間に・・・橘ク・・・先生・・・』

「胎児心エコーは人並みには読影できるので来ました。」


平常心がどこかへ行ってしまっているあたしの目の前に、至って冷静そうな風貌で姿を現したのは、小児科医師だけど、普段は新生児集中治療室医師として従事している橘クン。


胎児エコーは妊婦さんのお腹に超音波検査機器のプローブ(受信機)を当てて、そのお腹の中にいるベビーの様子を超音波で診る検査

産婦人科医師や臨床検査技師が検査を行うことが多い
心臓などの複雑な臓器に異常が見つかった場合は小児循環器専門医が診たりすることもある

ただ、うちの病院には小児循環器専門医が常勤で在籍しておらず、週1回の非常勤で対応している状況

ちなみ今日はその非常勤の小児循環器専門医が不在の日
だから橘クンがここに送り込まれてきたってワケだ


『胎児心エコーまでできちゃうんだ・・・』

「ええ、まあ。」

『いつの間に・・・』

「・・・・とりあえず、妊婦さんをお待たせしてはいけないので、早速と言いたいところですが、自分みたいな男性医師でも宜しいでしょうか?」


新生児集中治療室医師である彼が小児循環器という専門性の高い領域でもその能力を発揮できることに驚いているあたし。
その隣で、橘クンは今田さんに自分が胎児エコーを行ってもよいかの確認を取ってくれている。


「喜んで~!!!先生みたいな素敵なお方にも診て頂けるなんて光栄です!先生、お名前伺ってもいいですか?」

「あっ、ご挨拶遅れて申し訳ありません。小児科医師の橘と申します。」

「橘先生ですね!宜しくお願い致します♪」


いつもこの妊婦さんの検診では聞いたことのない弾む声。
いつも彼女を診ている医師という立場のあたしは若干複雑な心境だけど、病院中の女性スタッフから注目を浴び続けている彼なら、目の前の彼女が豹変しても仕方がない。


「奥野先生、先生が診たエコー所見、教えて頂けますか?」

『わかった。』


自分よりも先に集中力を高め始めた橘クンへ、あたしは今、自分が把握している所見を今田さんに気付かれないように専門用語を駆使して彼に伝えた。


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