second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
「奥野クン、ちょっと耳を貸しなさい。」
『・・・はい、こうですか?』
突然の寺川部長からの、耳貸せ発言に、何か良からぬことを言われるかもしれないと思いながらも、従うしかないあたしは彼に体を寄せる。
「もう他の男のことを考えながら、抱かれるのはやめなさい。」
『・・・バレてた・・・あっ!!!』
「やっぱりな・・・これからは目の前の男のことだけを考えて、俺ではなく彼に抱かれるんだな。」
橘クンのほうを見ながらヒソヒソ声であたしに話しかける寺川部長。
あたし達の内緒話が余程気になったのか、今日初めて、橘クンが眉間にくっきりと深い皺を寄せてこっちを見ている。
そんな彼の異変を寺川部長は見逃すはずもなく、寺川部長は
「奥野クン、彼に飽きたら、俺のところへ戻ってきてもいいぞ。」
『えっ?さっきと違』
「寺川部長?」
橘クンにも充分聞こえる声量でニヤリと笑みを浮かべながらあたしにそう言った。
その表情とさっきの内緒話の流れで、彼の冗談だと理解したあたし。
でも、ついさっきの内緒話が聞こえていない橘クンは、彼にしては珍しく噛みつきそうな空気を醸し出している。
「奥野クンを飽きさせなきゃいい・・ただそれだけだろ?」
「そうですけど・・・・」
「雅はいい女だ・・・油断していると他の男に持っていかれるからな。今までは散々、俺が威嚇して追い払っていたけど。」
「それはご苦労様でした。これからはその役も僕だけが担いますから、ご安心を。」
「ふ~ん、それは見ものだな、橘クン。」
「ええ、見守って居てください。患者さんも、そして僕達も。」
水と油のようなふたりが初めて噛み合う。
そんな会話であたしはようやく息をすることができた。
病院という公の場所だけだなくプライベートでも
橘クンと一緒に歩んでいいんだ
そう思うと涙も出そうになる。
「周産期センターの患者さん達のココロのケアがより身近なものになることを心から応援する。心療内科の力が必要な時はいつでも声をかけてくれ。」
「もちろんです。頼りにしています。」
『本当にありがとうございます。』
「キミ達の健闘を祈る。それじゃあな。」
あたしが自分のココロを殺して向き合おうとしていた寺川部長の、想定外なそんな温かい言葉にも涙を誘われる。