second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
だから、どこか集中しきれていない自分の神経をどうにかして目覚めさせなければならない
『・・・・あっ、新生児ドクターカーで開業医に迎えに行くから、開業医の場所も聴いておいて。』
「承知しました。」
『手洗いが終わったら、救急指令から情報貰うから、ドクターカー用の携帯電話に転送しておいて。』
指示を出すことで、自分自身のぼんやりしていた頭をようやく、動かし始めた。
そして俺は持っていた交換したばかりの紙おむつをすぐさまゴミ箱に捨て、手を洗い、そして、ドクターカーへ向かった。
その時の時刻、午後5時23分。
奥野さんに電話をしてみようと携帯電話を手にしたけれど
彼女がもし処置や手術中だったら、プライベートの案件でその手を止めてしまうのは、医師として許されないことだろうという考えが頭を過ぎり・・・携帯電話を白衣のポケットに納めた。
この瞬間を逃した俺は
「橘先生、行きましょう。」
『ああ。』
約束の午後7時のことを考えたくても
考えられない状況に陥った。
『俺がとことんタイミングが悪いのは今に始まったことじゃないけどな・・・・』
「橘先生?」
『あ~、独り言ってとこ。』
俺は救急指令と繋がっている手渡された携帯電話を耳に当てながら新生児救急車に乗り込んだ。
その後、救急指令から得た情報を頭の中に叩き込み、現場に到着したら自分が何をすべきかを考えた後、一息をつこうと窓の外を見た。
車窓から見える外の景色はもうすっかりと暗くなっていて、冬特有の澄んだ空気の中で、クリスマスの青いLED電飾がやけに明るく輝いて見える。
タイミングの悪いクリスマスの想い出
これまでにもいくつかあるけれど、中でも印象深かったのは医大時代のクリスマスシーズン
俺は名古屋医科大学の医学部2年生だった
「もうホント、なんとかしてよ。」
「すみません。」
「もう何回目よ?」
「・・・何回目・・・なんでしょうね。」
「日詠のばかっ!」
大学のカフェテリアで見かけた男女。
学内でも美男美女で名が通っているふたり。
3年生の日詠さんと4年生の奥野さん。