second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
それをそっと受け止めた彼があたしの左手薬指に嵌めてくれたもの。
それは
『これって・・・おばあちゃんの・・・・なくしたと思ってた指輪・・・』
あたしがてっきり無くしたと思っていた、大好きだった祖母の形見である8月生まれの誕生石ペリドットの指輪だった。
「奥野さんが使用していた手術室前の洗面台で拾ったんだ。これを着けていたのも見たことがあったから、多分、奥野さんのだろうって・・・」
『・・・・・・・』
「本当は初詣の時にでも返そうと思った。でも、あの後、なかなか返すチャンスがなくって・・・というか、本当のところ、俺はこれに勇気を貰っていて・・・奥野さんがすぐ傍にいるような感じがして・・あっ・・俺、変態じみてるな・・・・」
『・・・・ちょっと変態じみてるかもしれないけれど・・・あたしをそんなふうに思ってくれていたなんて嬉しい・・・それにこの誕生石には・・・』
「ゴメン・・勝手に持っていて・・・で、何かあるの?」
『このペリドットという宝石は・・・家族や夫婦の絆を強めるお守りとも言われているの・・・』
家族や夫婦の絆を強めるお守りであるこの指輪を橘クンが拾ってくれていたなんて、
彼があたしと共に歩む運命だったと勘違いしてもいいかもしれない
やっぱりあたしはこうやって彼に溺れていくんだ
「雅・・・もうこの世にはいない雅のおばあさんにも誓う。」
『えっ?』
「あなたから預かった大切な雅さんを一生涯かけて大切に愛し抜きます・・・と。」
彼は彼らしい毅然とした声でそう言い、空に向かって深く一礼をしてから、あたしの薬指に嵌ったばかりの指輪にキスをした。
『恭・・・大好き!!!!』
「あ~、何度耳にしても嬉しい・・・でも、ダメだって。もうすぐ昼休み終わりなのに・・・」
『だって、ずっと言えなかったんだもん・・・』
「あ~、もうダメだ・・・」
さっきとは全く異なる弱々しい声でそう言いながら
彼はあたしに甘いキスを数えきれないぐらいたくさん落とした。
「奥野先生・・・あっ、未来の橘先生、仕事の時間ですよ・・・」
『動けない・・・あんなキスされたら。』
「患者さん、待っていますよ。」
『わかってる・・・』
甘くて深い彼のキスで、完全に彼に溺れて使いものにならなくなりそうだったあたしだけど
新しい未来への第一歩を彼と歩み始めた。