second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『お忙しい中、お時間を設けて頂きありがとうございます。』
「いえ、こちらこそ、わざわざこちらまで出向いて頂いてありがとうございます。」
『相変わらず南桜病院の産婦人科は繁盛していますね。』
「おかげ様で・・・ここではゆっくりとお話できないでしょうから、部屋をご案内します。」
日詠さんと会う約束をしたのは、彼が従事している南桜病院。
この日も多くの患者で混雑しており、彼の誘導で院内を移動する。
『遺伝相談室スタッフルーム・・・』
「中へどうぞ。」
「あっ、はい。お邪魔します。」
俺が彼に連れていかれたのは遺伝相談スタッフルームという標識がかけられている部屋だった。
中に入ると、そこにはデスクが8個とやや大きめなソファーセットがあり、壁に設置されているホワイトボードに顔写真付きのスタッフネームプレートが貼り付けられている。
産科医師の日詠さんはもちろん、神経内科医師、小児科医師、循環器科医師、精神科医師、そして、臨床心理士2名の写真も。
育児休暇中と書かれている欄には、日詠さんの奥様の伶菜さんのネームプレートも貼り付けられている。
『これだけのスタッフを揃えたなんて凄いですね。さすがです、日詠先生。』
「いえ、揃えたのではなく集まって頂いたというとこでしょうか。」
『・・・・・・・』
謙虚・・・
もっと自信に満ちていて、自分中心に世界が回っているって勘違いしているようなヤツだと思っていたのに
「そういえば橘先生、ご相談の内容は・・・・」
日詠さんはコーヒーメーカーで淹れてくれたコーヒーを差し出しながら、穏やかな表情で自ら今日の本題に触れてくれる。
学生時代の、本当に気を許した人間しか寄せ付けないような雰囲気が全く感じられない彼。
医師として従事している環境が彼を変えたのか?
そうでなければ、何が彼を変えた?
『あっ、それなんですが、この度、うちの病院で周産期センターを設立することになりまして・・・』
俺は奥野さんの1番目の恋の相手を探ることに躍起になっていて、本来、自分がここに訪れた目的を忘れそうになっていた。