second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



「とうとう周産期、できるんですね。」

『ええ・・・それにあたって出生前診断で疾患が見つかった場合や先天性疾患を持って生まれたお子さんのご家族の支援を充実させたいと思っております。その一環として、臨床心理士による専門的な心理ケアを行いたいと考えています。』

「臨床心理士・・・」


突然、申し訳なさそうな表情を浮かべる彼。
その後、彼はホワイトボードに掲示されている“育児休暇中”の日詠伶菜と書かれたネームプレート写真を黙ったままじっと見つめている。


『奥様ですよね?』

「ええ・・・」

『先日、陽菜ちゃんの検診でお会いしましたが、奥様も随分顔色が良くなっていらっしゃっていて安心しました。結婚式の様子も森村から動画で見せて頂いて、改めてご結婚おめでとうございます。』

「・・・ありがとうございます。」


俺がおめでとうと伝えているのに、まだ申し訳なさそうな顔の彼。
相談にきているこっちのほうが心配になるぐらい。


『日詠先生・・・何かありました?』

「いえ・・・あっ・・・あの・・・」

『へっ?』

「いえ、だから・・・伶菜を返して下さいとか・・・ないですよね。」

「は?」

「臨床心理士、欲しいという相談ですよね?」


見ているこっちが気の毒になるぐらい困ったような顔をしている彼。
いつもクールなミスター名古屋医科大学殿堂入りの彼が見せたその顔に驚かずにはいられない。


『まあ、そうですけど・・・。』

「伶菜は返してあげられません。僕のですから。」

『えっと・・・・』


確かに臨床心理士は喉から手が出るほど欲しい
だから、自らが率いる遺伝相談チームにどうやって臨床心理士を介入させるようにしたのかを知りたいと思って彼を訪ねただけなのに
返せません、僕のですから・・・か・・・

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