second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『お前もわかってるはずだろ。奥野さんと日詠さんのこと。』
≪お前より熟知してるけど。≫
早くこの電話を終えて、奥野さんと連絡を取れる状態にしたいはずなのに、しれっとそう答える森村にイラつきを覚える。
『じゃあ、なんでこんなことした?』
≪お前がいるからだよ。≫
『は?』
≪日詠さんはもう絶対にレイナを離さない。だからお前はいつまでも見物人をやってんじゃね~。女神もお前も、もう大学生じゃないんだから。≫
『なんだよ、それ。』
≪健闘を祈る。お前にもご祝儀準備しておいてやるから。じゃあな。≫
「おい!!!!」
ツー・ツー・ツー
『あいつ・・・自分のことは棚に上げて、相変わらずやること無茶苦茶なんだな・・・伶菜さんのことは諦められないクセに。』
日詠サンはもう絶対にレイナを離さないと言い切った彼。
それは“日詠サンに想いを寄せたままの奥野さんを想いを続ける”俺にとっては朗報かもしれないけれど、彼にとっては受け入れたくない現実なはず。
その現実に背中を押される形になった俺はさっきまで自分の中にあった彼への怒りがすうっとしぼんでしまった。
『俺をイジる暇があったら、森村もそろそろ落ち着いてくれないとな・・・』
大きくひとつ溜息をついているうちに自家用車が停めてある職員駐車場に到着した俺。
『あっ!奥野さんから電話あったか?』
森村との電話を終えた後、うっかり鞄に入れていたスマホを確認する。
身に覚えのない電話番号の着信履歴アリ。
『バイブレーションだったから気付かなかったんだよな・・・この番号にかければ奥野さんに繋がるか?』
すぐに奥野さんらしき電話番号に電話をした。
電話中のコールが鳴り続ける。
『奥野さんはまだ忙しいのか?もう退勤できる時間なはずだけど。』
一度電話を切る。
いつもの俺なら電話中の相手への電話はすぐにかけ直してもどうせ繋がらないと思えるはずなのに、今はそんな気になれなくてもう一度、奥野さんの携帯電話に電話をかけた。
ツー・ツー・ツー