second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『えっ?眠る?・・・どこで?』
「だからここで。」
『なんで?』
「当直明けなので、眠ったほうがいいのでは?」
なかなか赤信号にならないせいで、彼は前を向いたまま返事をしてくれる。
太陽の光が差し込む方向と反対方向へ進み始めたこともあってか彼はサングラスを外して、サンバイザーに取り付けてあるホルダーに器用に引っかけている。
目を覆う物がなくなった彼の、まっすぐ前を見つめる目の動きは鋭くて、ドキリとせずにはいられない。
慌てて視線を逸らした先はカーナビ。
自分のクルマとは異なる機種であることもあって、チラ見状態の今は細部まで確認できなかったけれど、行先を設定してあることはわかる。
予想していた大須観音は病院のお膝元と言ってもいいぐらいな場所にあり、ナビ誘導が必要な位置ではないはず
『大須観音じゃない・・・?』
「・・・バレました?」
『初詣ってどこ?』
あたしが少し眠ってもいいって促されるところってどこなんだろう?
橘クンも当直で眠れたかわからないのに・・・
「・・・内緒です。」
『ひ、ヒントぐらいは・・・』
「じゃあ・・・ヒントは・・神宮。あと、コレ。」
『神宮ね・・・。わかった。』
神宮と聞いて、今いる名古屋城付近から少しクルマで走れば到着するであろう熱田神宮を予想できたあたし。
お正月の熱田神宮はハンパなく混雑するけど、ここからそんなに遠くないからたまにはいいか・・と納得しているあたしに彼が手渡そうとしているモノ。
『ホットアイマスク・・・?アロマ・・・』
「ドラックストアで薬剤師をしている姉から押し付けられたので、良かったら使って下さい。」
それは、ラベンダーの香りと書かれている個包装された使い捨ての温感アイマスク。
ジャスミンティーといい、温感アイマスクといい、至れり尽くせりなおもてなしにも戸惑ってしまう。
橘クンがモテる要素をこんなところでも感じずにはいられない。