second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『あたしを甘やかしても、何も出せないよ・・・』
「もう出してもらってます。今、この時間とか、これからの時間とか。」
『初詣なんかでいいの?しかも、あたし、通勤服でお正月らしい格好してないし。』
ハイネックのセーターにジャケット、上品なスラックスにキャラメル色の少し色あせた革製のおしゃれなブーツというお出かけにはバッチリな格好の橘クンの隣に自分がいてもいいかと思ってしまうような今日のあたし。
「いいです。奥野さんの通勤服は凛としていてかっこいいですし。」
『そ~かなぁ。初詣行くならもっと・・・』
橘クンの格好に釣り合う服装にしてこれば良かった・・・
あたしはそんなことを口にしてしまいそうになり慌てて口をつぐんだ。
「そんなことを気にしないで、せっかくですから楽しみましょう、初詣。」
『・・・そうだね。』
「そうと決まったら、少し寝て下さい。起きた頃には到着していますから。」
『助手席で眠られるとか・・橘クンも眠くならない?』
「俺は当直中、結構寝てましたから大丈夫です。だから奥野さんは安心して寝てください。ちゃんと安全運転しますから。」
ちょっと強引だけど、優しさ溢れる強引さ
橘クンのこういうところに最近巻き込まれがちなあたし
だから今も多分、これ以上抵抗しても無駄
それにこのまま起きていて、何を話したらいいかもわからないあたしに彼は気を遣いそうだし、眠ったフリをすればいいか
『じゃあ、またお言葉に甘えて、おやすみなさい。』
「おやすみ・・・なさい。」
勤務中は聞いたことなんてない橘クンの甘いおやすみなさいに、またドキリとしながらラベンダーの香りに癒され目を閉じて眠ったフリをした。