second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結




『彼女達、見る目あるな~。』

「奥野さんまでそんなこと・・・」

『橘クンが困った顔とかレアだな~。何食べる?』

「・・奥野さん?!」

『ふふ・・ごめん!で、何、食べるの?』


眉間に皺を寄せてあたしを軽く睨むというこれまたレアな橘クンまでもを楽しむあたし。

橘クンもリクエストしたぜんざいを一緒に注文して、それの温かさと甘さをも一緒に味わう。

どうやら彼もぜんざいは好みだったようで、さっき目の前で見せていた眉間の皺は消えていて、穏やかな笑みを浮かべていた。

本来、初詣に行こうと決めたのは、“伶菜ちゃんと日詠クンの結婚式の動画を見ようとしなかった橘クンがその時元気がなかった理由を探るため”だった。
それなのにあたしは、橘クンのおかげで、例年であればただ寝て過ごすはずだった当直明けの今日を五感でフルに楽しんでいて。


「伊勢うどんも食べます?」

『もちろん!口の中が甘いからそろそろしょっぱいものも食べたい!』

{「・・・食べっぷりも・・スキだな・・俺」}

『えっ?何か言った?』

「いえいえ、行きましょう、伊勢うどん。」


あたし達は、目を合わせることも照れ臭かった今朝とは異なり、顔をじっくり見合って笑顔で頷きながら早足で伊勢うどんのお店へ向かい、そこでも舌鼓を打った。

その後、伊勢うどんのお店を後にしたのが、15時半過ぎ。
さっきまで頭上にあったはずの太陽がかなり低くなっていた。


『外宮って遠いのかな・・・』

「この時間にここから歩いていくと、参拝する時間がないですね。クルマで移動しても多分回りきれないかと。」

『そっか・・・残念だけど、外宮参り、諦める。』


伊勢神宮内宮を参拝したことでお伊勢参りの面白さを体感し、外宮も参拝したくなっていたあたしは橘クンの返答を聞いてついガッカリしてしまう。
でも、その面白さを感じられたのも、橘クンの親切丁寧な引率があったからだろう。


「きっとまた来れますよ。」

『そうだよね。うん、そう。』

「きっとまた来ます・・・雅さん・・と。」

『えっ?』

「日が暮れるともっと寒くなりますから帰りましょうか。明日、お互いに日勤ですから。」


明日、日勤か
朝から勤務・・・
あたしのお正月は今日でおしまい

こんなお正月本当に久しぶり
名残惜しいけれどもう帰らなきゃだよね


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