second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結


病院内での彼女は凛としていて、いつでも冷静沈着な判断を下せる大人な女性医師というイメージが定着してきている。
その彼女が今、キョロキョロと周囲を見回しながら、今自分がどこにいるのか必死に探っている。

けれども伊勢神宮に近付くにつれて、そのヒントとなる看板が増えてきて。
さすがの彼女も今、どこにいるのかに気がついてしまい、申し訳なさそうな表情を浮かべる。


そんな顔して欲しくない

ここに来た理由・・それは彼女が
医師として緊張感の中で従事する日常
そして
彼女がずっと想い続けてきたであろう日詠さんの結婚式の様子・・それを彼女は動画を通じて目の当たりにしているであろうという現実
それらから彼女を解放させてあげたい
いや、解放させたい・・からだ


《日詠さんはもう絶対にレイナを離さない。だからお前はいつまでも見物人をやってんじゃね~》

森村の言う通り、俺はもうただの見物人でいるつもりはないから

『奥野さん、さっきも言いましたが今日は仕事とか忘れて楽しみましょう。』

だからちょっと強引でも俺は彼女の手を引く。
森村と同様に傷心状態であろう彼女の中に、新しくて楽しい記憶を作るために。


そのためには、今日はお正月らしい格好じゃないことを気にしていた彼女への気遣いが必要と考えていた俺は早速、それを実行する。


「橘クン、なぜ着物?」

『初詣に行く格好、一緒にしてみるのも良いかと思いまして。』

「一緒に・・・?」

『ハイ。釣り合うほうが良いかと。奥野さん、着物、似合いますよ。絶対。』


昨年までの初詣では、姉に無理矢理着させられていた着物
今年は自らの意思でそれを着たいと思う
俺と釣り合いがとれるとれないで戸惑っていた、俺がずっと想いを寄せている人と一緒に

美しい首筋にピンと伸びている背筋
ゆっくりと目を伏せる艶っぽい仕草
雅さんは名前負けしないぐらい着物が似合いそうだ
でも、ここまで連れてきたのも同意なしだったんだから無理強いはできない

そう思っている俺の耳に、照れた表情をしながらも“たまにはいいかも”という彼女の同意の声が聞こえた。
しかも、お互いに着せ合いっこするという、ちょっといやらしい想像をさせられてしまうような言葉まで。

「ち、違うの?」

つい笑ってしまった俺に、追い打ちをかけるように眉を下げてそう問いかけてきた彼女。


勤務中の冷静沈着な彼女はどこへ行ったんだ?
プライベートではこんなに危なっかしい人なんだな
他の男とかはこういう彼女を知ってるのか?
学生時代からの憧れの存在で、仕事ぶりを間近で見ることのできる今は尊敬している存在なのに・・・もうホントに放っておけない

・・・かわいすぎて・・・・


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