恋と旧懐~兎な彼と私~
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先生も大変なだけだろうに。

暇を感じる私は,毎年進級と共に行われる集会の意義について考えていた。

どこの学校も大して変わらない,実のない校長の話をひたすら聞く。

校長1人を前に,私達生徒がズラリ。

他の教師は端に控えるようにして立っている。

きっと座っている私達よりも辛いだろう。

中にはコクコクと船を漕いでいる先生もいた。

はぁ。

このまま終わるまで耐えるのかと思ったとき。



「ん,んん。では,転校生を紹介します」



校長先生特有の謎のチューニング後,そんな言葉が落とされた。

広がるざわめき。

寝ていた生徒も顔をあげたのが分かった。

私は,空になっている暁くんの後ろの席を思い出す。



「はい,おいで」



校長が声をかけると,ちょっと可愛めでモテそうな男子が舞台そでから出てくる。
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