義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
伝えること

駆side



唐突な告白に驚いた。

『駆くんのことが好き。』

何度も何度も思い出す。


『駆くんのことが好き。』

『好き。』

『真剣にお付き合いさせてください。』


「ぅわー…」


思い出すたびに心臓がおかしくなるし、顔も熱くなる。

高校生の頃からの片想いを実らせたは良いけど…。


(なんでいきなり……?)


デートで上手くエスコートできたから付き合えた?
割とずっと笑ってたよな?
でも、最後なんかわからないけどのんちゃん泣いてたし。


頭の中で必死になって理由を探す。


「眉間にシワ寄ってる」

「っ…!!」


一緒に晩御飯を食べてる最中、のんちゃんが俺の顔を覗き込んでそう言う。

ビクッと心臓が跳ねて、体が強張った。


「美味しくなかった?ハンバーグ。」

「いや!めちゃくちゃ美味しいです!!」

「ふふ、ありがと〜」


のんちゃんが作ってくれたハンバーグを味わいながら、同時に甘い雰囲気を纏うのんちゃんを堪能する。

割と、本気で自惚れてもいいかもしれない。


(前みたいなちょっとしたトゲトゲはないし、口角も上がりっぱなしだし。)


「………のんちゃん、俺のこと好きそう」


バカみたいな心の声が口をついて出てしまう。


「うん。好き。」

「…………」

「駆くんは?」

「俺も…その…」


面食らって喉奥に声が引っかかった。胸がきゅぅっと音を立てるように締まる。喉も乾いて視線が泳ぐ。


「……駆くんから好きって言われたことない。」

「っ…え?そうだっけ…?」


まじか。

眉間にもう一度シワを寄せて、今までのんちゃんに向けて言った言葉を思い出す。

『俺と結婚しよ? のんちゃん。』
『俺、のんちゃんの本当の家族になりたい』


(うわぁー!バカじゃん!)


我ながら知能レベル低そうな突っ込みを入れると、額がじんわりと汗ばんだ。


「ごめ…!えっと…!!本気でのんちゃんのことが…!!」

「待っ!」

「好…!」

「待って!勢いで言われるのは嫌!」


ごくりと口の中に入っていたハンバーグを飲み込んで、数回瞬きをした。

てか、ハンバーグ食べながら気持ち伝えようとする俺って………最低。


「………ワガママ言ってごめん…」


あー…でた。トゲトゲした後にいきなり丸くなってシュンとする感じ。


(………可愛い)


どんな扱いされても嫌だと思わないから、のんちゃんには敵わない。


「……今日さ、寝る前にのんちゃんの部屋行っていい?」

「えっ…なんで…?」

「あ、他意はない!変なことはしない!」


疑い深い顔で見られると、本当に好かれてるのか不安になる自分がいる。


「話がしたい」


聞いて欲しいな。届いて欲しいな。


ただそれだけの気持ちで提案すると、のんちゃんは一度頭を縦に振ってくれた。


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