義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
まさか、その数時間後…。こんなことになるとは予想してなかった。
《くちゅっ…》
卑猥な水温が右耳に響く。柔らかい舌が耳の縁を舐め上げて侵食してくる。
「ひゃ…ぁ…」
自分でも聞いたことがない声が聴こえる。恥ずかしくて口を固く結ぶと…。
「ん………声……我慢しちゃうの…?」
と、息が上がっている駆くんに言われる。
「恥ずかし…い…」
「なんで…?」
『なんで』って言われても。恥ずかしいものは恥ずかしい。
そう思っていると…。
「可愛いよ…。もっとしてあげたくなる…。」
耳元で吐息たっぷりな声が注がれた。喉の下の方から胸に掛けてキュンと締まる。
《クチュ…》
その後もう一度、耳のナカを舌が襲った。
「んっ…あぁ♡」
「好き。大好き。」
首筋からゾワっとした心地よい波が押し寄せる。脳内を丸ごと侵されてるみたいで興奮した。
「胸…触るよ…?」
私だけじゃない。駆くんも初めてだって言ってた。
きっと、同じくらい彼も緊張してると思う。
「あぁ…かっこわるっ。手…震える…。」
「……駆くん、可愛い。」
「っ……うるさい…」
可愛いって言葉は禁句なのかな。ムスッとした顔付きのままキスされた。
唇が触れ合って、徐々に柔らかな舌が絡む。ゾクゾクして、うっとりと全身が脱力した。
その数秒後、ゆっくりと駆くんの手が伸びてきて、私の胸に触れた。
「……うわ…柔らか…」
「感想要らない…」
「ごめん」
包み込むようにキャミソールの上から揉まれる。なんか擽ったいかも。
「これ、脱がすよ…?」
「……うん…」
駆くんは私のキャミソールを捲り上げて脱がした。一枚無くなるだけでこんなにも心許(こころもと)ないのか、と内心驚いていると…。
「……っ…」
駆くんが目の前で真っ赤になって口を固く結んだ。
……ものすごくわかりやすい。
無言のまま私の胸に顔を近づける。
そのまま口に胸の先端を含んで、舌先で転がし始めた。
「んっ…」
最初に抱いた感想は『変な感じ』という感想。それから徐々に激しくなっていく。
(ぁ……気持ちいいかも……)
段々と慣れてきたときに快楽が迫り来る。歯で甘噛みされて、あまりの気持ち良さに仰反った。背中から押し寄せる快楽にやみつきになってしまいそうで…。
「硬くなってる…。気持ちぃ…?」
「うん………あぁっ♡」
声が我慢できずに漏れてしまう。段々とぐずぐずになっていく私を、嬉しそうな表情で見つめてきた。それがなんだか面白くなくて…。
「やだぁ…あッ」
「……嫌なの? ………気持ちいいって声に聴こえるんだけど。」
「っ……うぅ…」
「ほら言って。気持ちいいって。」
少しだけ余裕ができてきた駆くんは、にっこりと笑みを浮かべてもう一度舌で愛撫し始めた。
「や…言わない………んんッ…」
「意地っ張り。……シタ、触るよ?」
伸びてきた手を簡単に受け入れて、ショートパンツを脱がされた。そのまま下着に手をかけ、剥ぎ取られる。
「……わっ…私ばっかり脱いで嫌…!」
「っ…ごめん、脱がすことばっかり気にしてた…。」
「………変態…」
トゲトゲした言葉をぶつけても、駆くんは無視だ。
寝巻きのスウェットを脱ぎ捨てる。程よく引き締まった身体が目に入り、より一層緊張感が高まった。
「………」
無言のまま駆くんは私の下に手を伸ばす。
「………待っ…」
「…………待たない。」
《くちゅ……》