義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
身体は素直に反応していた。自分でも驚くくらいに…。
「濡れてる。」
自覚はしている。だけど、言葉ではっきりと言われるとカァっと顔が赤く火照って羞恥心が込み上げた。
「………」
私の瞳の中を真っ直ぐに覗いて、再び唇同士が触れる。水音が静かな部屋にやけに大きく響く。脳内が真っ白になるほど、ひたすらキスに没頭した。
「ほぐすよ…。」
いちいちしっかりと教えてくれるのが駆くんらしい。
言葉通り、駆くんは指で両足、腿の間に位置する秘部に触れた。びっくりして足を閉じようとしたら制された。割れ目を沿って柔らかく蕾を撫でられると…。
「わわ!」
フワッとした感覚が腰に押し寄せて、声が漏れてしまう。
色気とは程遠い声に、駆くんは笑う。
「…もしかして、あまり自分で触らない?」
「………うん…。」
「そっか。……じゃあ…気持ちくなれるように頑張るね。」
そう言うと、彼は執拗に同じ場所を一定のリズムで撫で続けた。
「ぁ…ッ…!あぁ…♡」
ふわふわするのに、同時にビリビリする。
「やっ…ぃや………んッ!!」
「? どうかした…?」
「何か来そう…!わっわかんない…んだけど………んっ!」
押し寄せる快楽が最高潮に達した。
「っ……はぁ…はぁ…」
ビクビクと身体中が痙攣し続ける。
「………イった?」
「……………わ、わかんない…」
「……のんちゃん初めてだから少しの刺激でもイっちゃったのかな…?」
「しっ知らない…」
力が入らない。急に全身に疲労感が充満していた。
けれど、心は穏やかで頭がぼーっとする。
「……」
それから数秒間、沈黙が続いた。
言われなくてもわかってる。
長い期間、ずっとそばにいた。クラスメイトから兄妹になって、彼氏と彼女の関係に発展した。気づけば今、私たちは夫婦だ。
「………いいよ。」
きっと、夫の背中を押して受け入れること、それが私の役目だから。
「……………うん…」
熱っぽい視線に心が揺れる。駆くんを抱きしめると、温かくて目頭が熱くなった。
「挿れるよ…」
宣言通り、駆くんは自身を充てがって私のナカに入ってきた。
言われていた通り、初めては痛くて。
「……大丈夫…?」
「………うん…」
「…………痛いよね。……力抜ける…?」
少し顔を歪めただけで、駆くんには全てバレてしまう。
「力の抜き方がわかんない…」
困っている私の目尻にキスを落として、それから目を合わせた。そのまま今度はこめかみに、頬に、唇の横に。徐々に唇に近づけるようにキスをして、最後に首筋を舐めた。
「んっ…」
ゆっくりと深くまで浸食させていく。キスに没頭しているせいか、痛みは徐々に柔らいだ。
「…っ……これで全部…。痛い…?」
「今は…平気…。」
「そっか…。」
「……駆くんの好きにしていいよ…。気持ちよくなって欲しい…。」
「………」
私の発言を聞いて、不機嫌そうな眼差しが私に降り注ぐ。
「……のんちゃんわかってない。」
駆くんは低い声を漏らす。
わかってない、って何を?
と言った問いかけを込めた視線を向けた。
「確かに気持ちいいし…なんならもうイきそうだし…。」
「……?」
「でも違う。気持ちよくなるのが目的じゃないから…!」
私の頬に触れながら、真っ直ぐに私を直視する。
「……愛してるって…ののに伝えたくて……知って欲しくて……。」
「…………」
「のの…好きだよ…。………愛してる。」
こんなにも愛されて、こんなにも贅沢で。
「……私も…駆くんのこと…愛してる…。」
こんなにも満たされて、こんなにも幸せで。
「………好き…ッ……大好き………。愛してる…。」
………いいんだろうか。
「……俺も…愛してるよ…。のの……愛してる…。」
紡いだ言葉を溢さないように、強く胸に刻んだ。