【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
「お恥ずかしい話なんですが……そんな一流ブランドのドレスが買えるほど持ってなくて……」

 生々しい話だけれど、万が一用の貯金を除くともう手元に残っているのは今着ているドレスと同じものを買える程度だ。とても一流ブランドのドレスなんて、無理。

「そんな心配はしなくていい。大体俺の我が儘なんだから。当然俺が出すよ」

 俯いた私に、九条さんは当たり前のことだという口調でそう言った。
 驚く私に九条さんは続けた。

「これからなにか必要なもの、欲しいものがあれば言って。婚約者であるゆきのに関わるものは全て俺が用意する……させてくれ」

 婚約者、そう言われるとなにも言えなくなってしまう。そのうえお願いするような口調。私にとっては頭が混乱するような話でも、九条さんの住む世界では当然のことなのかもしれない。

「……えっと、すみません。お願いします」

「謝ることじゃない……断られたらどうしようかと思ったよ」

 困ったような顔をした九条さんが、少しだけ安堵したように感じた。その表情につられて、私の肩の力が少しだけ抜ける。
 それからほどなくして、前菜が運ばれてきた。続いたスープ、魚料理、デザートのテリーヌは絶品だった。

 食事をしながら、途切れ途切れではあるものの、互いのことについて少し話した。
 誠さんのお母様は弟の優さんを産んですぐに亡くなっていること。
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