【現代恋愛】【完結】執着的な御曹司は15年越しの愛を注ぐ
 ドレス? 彼の提案と同時に、ウェイターがノンアルコールの赤ワインを持ってきた。緊張から喉が渇いてしまって、九条さんに勧められるまま一口飲んでみる。

「美味しい……!」

 ノンアルコールだからアルコール独特の熱はないけれど、ジュースとも違う。深くて、上品な渋みも感じられて、芳醇な香りが口いっぱいに広がる。
 思わず溢れた感動に九条さんは「そうか」と言った。
 もう一口、飲んで、先程の話題に戻ってみる。

「ところでドレスって……」

 車内で褒めてくれたのはやっぱりお世辞で、似合わないから他のにしたほうがいいということだろうか。短いドレスの裾を無意識に引っ張る。

「ああ、先を超されてしまったからね。好みのブランドがあればそこで作らせよう」

 例えば、と彼が挙げたブランドは一着も持っていなくても名前を知っているような一流ブランドばかりだ。そんなの考えてもみなかった。

「あ、いえ、私はこれで十分ですので……そんなに沢山持っていても着ていく場所もありませんし」

 慌てて、一方的に進んでいる話にストップをかける。

「結婚後もなにかと催し物に夫婦で出席することがあるだろうから、持っていて困るものではないだろう?」

 確かに。九条さんの言うとおりだ。でも、正直……。
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