かけて、其れ切り
「とても可愛いデザインなんだけどね、月の光にだけは当てないようにしてね?」

「当てるとどうなるんですか?」

 聞いても、彼女は曖昧(あいまい)に微笑むだけで――。

「ごめんなさいね。私もそうしてはいけないと、これを持ち込んだ人から言われただけで、どうなるかまでは分からないの」

 そう言って頭を下げた。

 もし外に置いて野ざらしになんてしたら、()びちゃうからそんなことを言われただけかもしれない。

 桜子(さくらこ)さんの飄々(ひょうひょう)とした、どこか(とら)えどころのない雰囲気を思い出しながら、からかわれたのかも?とか思ってしまう。

 それでも折角手に入れたこの愛らしい五徳を守りたくて、私は月光が当たらないように配慮しようと心に決めた。
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