かけて、其れ切り
 と、看板下のドアが開いて、中からとても綺麗な女性が姿を現した。
 長い黒髪を後ろでひとつに束ねた彼女は、
「いらっしゃいませ」
 そう言って、ふうわり微笑んだ。

 淡いピンクのブラウスに、黒いシフォン素材のロングスカート。その上にカフェの店員さんみたいな、ブラウンの胸当てエプロン。
 何のお店かは分からないけれど、ここの店員さんかな?
 そう、思った。

「あ、こ……こんにちは」
 私もつられるように彼女に笑顔で挨拶を返すと、
「あの、これ、“アンティクエショップ ゆげんや”って読むんで合ってますか?」
 頭上の看板を指し示しながら尋ねる。眼前の女性が、とても優しそうに見えたから――。聞いたら答えてくれるかな?と思った。

「ああ、それはね、“アンティークショップ ゆうげんや”って読むの……」
 どうやらローマ字ではなくて、英語で書かれているらしい。

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