お嬢様の恋 ~秘書兼護衛係はお嬢様への一途な想いを隠せない~
それは事件があったその日、真岸が咲に車の中で打ち明けた話だ。
彼女にプロポーズをしようとしていたこと。

彼女は知っているのだろうか。
でも、その事実をもしも知らなくて、咲が話したとしても、もう真岸はいない。

「こんなことになるのなら、もっと早く私からプロポーズしていればよかった・・・」
真岸の彼女が祭壇にある真岸の写真をみる。
「最後の日に・・・言うなんて・・・反則ですよね。」
ぽたぽたと大粒の涙を流しながら、彼女は咲の方を見る。

つられて咲も涙を流す。
「ごめんなさい。」
咲は彼女にもっていたハンカチを渡した。
「・・・私にとって真岸さんは本当に兄のような存在でした。本当に・・・何度も何度も救われました。仕事上だけではなく、精神的にも励まして支えてもらいました。」
咲は真岸の彼女の手を握った。
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