俺の気持ちに気づけよ、バーカ!
「あ~。そろそろ
練習に戻んねぇとなぁ」
「……そうですね」
だるそうな声に
私は残念なため息をかぶせる。
子供にもママ達にも
大人気の、桜牙コーチ。
人気のない体育館裏で。
私だけが独占していた
この奇跡。
私にはもったいないほど
贅沢な時間だった。
でも、今は
寂しさを感じてしまうわけで……
シンデレラも思ったのかな?
魔法が解けてしまった
あの瞬間。
『もっと王子様と二人だけで
話したかったのにな』って。