俺の気持ちに気づけよ、バーカ!

「璃奈、大丈夫かよ」

「……うん」

「水、飲んどけ」


心配げな桜ちゃんから
グラスを受け取り

水をゴクゴク飲んで
喉を落ち着かせる。


テーブルの真ん中に
置かれたケーキ。


向かい合いながら
パクパク食べ

「明日、スーパーで卵が
 100円なんだよ」とか

「優くんと亮くん。
 通信簿を桜ちゃんに
 見せたくないって」とか

「絹さんの一時退院
 もうすぐだな?」など


カップルになる前と変わらない
距離感で、
普段通りの会話をしていたのに


桜ちゃんが急に
フォークを置いて

紙ナプキンで口元を拭き

「璃奈」

背筋を伸ばしながら、
私に真剣な表情を
向けてきたから

ガラッと変わった
張り詰めた空気に
耐えかねた私も

フォークを置いて
桜ちゃんを見つめ返す。

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