俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


俺は満月に微笑み、
そのまま璃奈を見つめた。

不安そうに俺を見上げる
璃奈の瞳は、
満月のように輝きながら
寂しそうに揺れている。


「……おう……ちゃん?」

「璃奈の手
 つないでもいい?」

「えっ?」

「ほら、早く貸せって」


キョドる璃奈。

そんなことに
構っていられない。

俺は強引に
璃奈の左手を握りしめる。


「あわわ…
 いっいきなり……どうしたの?」

「俺ら付き合ってるだろ?
 手を握るくらい
 そんなに慌てることかよ?」

「だって……
 桜ちゃんって……
 エスパーなのかなって……」

「なにそれ?」


「私も言おうとしたんだよ……
 手をつないで欲しいって……」


えっ?


「でも桜ちゃん、
 カップルっぽいことを人前でするの
 嫌がるかなって思ったら……
 桜ちゃんの袖を握るのが
 いっぱいいっぱいで……」
 
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