俺の気持ちに気づけよ、バーカ!


「別にさ、
 スプーンを客が落としたら、
 綺麗なスプーンをキッチンから
 持って来ればいいだけだろ?」


「私がご飯を食べに行って
 スプーンを落としたら、
 音がお店中に響いて
 恥ずかしくなっちゃうもん」


「そんなの、
 ごめんなさいって謝って、
 オマエの得意な笑顔を
 振りまいとけば十分だろうが」


「スプーンキャッチは、
 高校卒業したらカフェに就職したくて、
 私が必死に磨いた技なのにぃ……」


努力するとこ、違くねぇか?


「天然の璃奈をバイトで雇って、
 この先も社員として
 内定を渡したカフェ店長って、
 変わり者だよなぁ」


「桜ちゃん、店長の悪口はやめて!」



最近、色気というものを
纏い始めた璃奈。

激怒中のハリセンボンと
対決してんのって程、
ほっぺを膨らましている。


ほら。

そういうふくれ顔。

俺の好みど真ん中なんだって、
まだわかんない?


それに、言えねぇ。

マジで言えねぇ。

璃奈の口から流れ出す
『おうちゃん』って響き。

俺の鼓膜を揺らすたびに
キュンキュンの矢が心臓に突き刺さって、
耳がとろけそうになるってこと。
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