私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
「ご注文はお決まりでしょうか?」

「ええと……、この、ミズウサギくん?のソーダで」

「わ、私は……喝采(かっさい)のコーラってやつで」


『あれ?』と、私は引っかかった。


(水兎くんと喝采くんの読み方を間違えてる?)

水兎くんは、水の元素(エレメント)を司る人気キャラだし、喝采くんに至っては主人公なのに。

片方だけなら、『エレアル』ファンの友達の付き添いかなって思うけど、2人とも『エレアル』を知らないなんて、珍しい。

真昼ちゃんも不思議に思ったのか、小声で問いかけてくる。


「あの人たち、『エレアル』ファンじゃないですよね? 
まさか、グッズやコースターの転売目当て?
やだなぁ。『エレアル』でも、そういう人がいるなんて」


転売とは、ファンでもないのに限定のアニメグッズなどを買い漁って、ネットで高く売ることだ。
人気作品でそういうことをする人がいるというのは、私も知っている。

でも、それにしては女の子2人は、オタクっぽくないというか、こういう場所に慣れてない印象を受けた。


「こういうカフェに興味があって、試しに入ってみたとかじゃないかな?
グッズを買い占めてるわけでもないし、気にしなくていいんじゃない?
ファンじゃなきゃコラボカフェに入っちゃいけないって決まりもないし」

「んー……。ま、それもそうですね。
転売目当ての人って、おじさんが多そうだし。
あの人たち、どう見ても、私より2.3歳上ぐらいですもんね」


真昼ちゃんは首を傾げつつも、納得してくれたようだった。




あえて気にしないようにして、私は真昼ちゃんとの会話に戻った。

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