私は今日も、虚構(キミ)に叶わぬ恋をする。
「わぁぁ……最高ですね! 『エレアル』一色!!」

「本当! ポスターも入り口の看板ものぼりも、全部可愛い〜!」

「ですよね! 私、撮影してもいいですか?!」

「うん! 私も撮りたい!」


目的地にたどり着いた私たち2人は、スマホ片手に目をキラキラさせた。


「はぁー……夢みたいです! 
『エレアル』のコラボカフェに来られるなんて!
しかも、深月さんと一緒に!」


そう。
私と真昼ちゃんが2人で来たのは、『エレアル』をモチーフにした料理やドリンクを扱う、期間限定のアニメカフェ───いわゆるコラボカフェだ。

『エレアル』のイラストが使われた大きなポスターに、店員さんの手書きだろうキャラクターが書かれた入り口の看板。

並べられたのぼりには『エレアル』のキャラがひとりひとり描かれている。

まさに、『エレアル』ファンのための場所だ。


「東京や大阪では何度か開催されてましたけど、流石に遠くて行けなかったんですよね〜。
今回、初めて名古屋での開催が決まったときには、もう嬉しくて嬉しくてっ!」

「地元じゃないとなかなか行けないもんね。
交通費も時間もかかるし」


10時の開店までにはまだ少し時間があったのだが、入り口横には何組か既に並んでいる。


「もっと行列ができてるかと思ったけど、意外と人少ないですね〜」

「まだアニメ化前だもんね。これからもっと人気になったら、予約も取れなくなっちゃうかも」

「え〜。それは困ります! 全メニュー制覇するまで通いたいのに!」


私と真昼ちゃんはスマホで席を予約していたけれど、予約なしでも入れるみたいだ。

最後尾の3人組の女の子たちの後ろに並ぶと、楽しそうな会話が耳に入った。


< 93 / 165 >

この作品をシェア

pagetop