愛と狂気の真ん中で
俺をまっていたのは,思っていたより良い環境だった。

健康的な食事,綺麗な服。

でも俺はやっぱり外には出れなくて,だからといって出たいわけでもなかった。

花は俺のもの全てをネットで揃え,俺は両親を思い出した。

勉強も教えて貰った。

かって貰った教科書,与えられたスマホ。

そして頭の良い花から知識を吸収した。

こつこつやっていた分,大半の学生よりは学力があると思う。

習ったことは全て覚えていた。

でも,花もそうであったから,もしかしたら世の中の人間は全てこうなのかもしれない。

花にも褒められたからまぁいいか。

部屋のある一角。

そこで俺は8年間ほぼ毎日,目的のない拷問のようなことをされた。

初めての時,



『ちょっとだけ,切ってみても良い?』



花に言われて,特に抵抗もせず右手を差し出した。

そしたら思いの外,花は持っていた包丁で俺の腕を深く切ったから,俺は驚いたのを覚えている。



『いっ!?』

『ごめんね。ほらっおいで?』



だけど直ぐに手当てされ,さらに訳が分からなくなった。
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