愛と狂気の真ん中で

愛と狂気

「ふぁぁ…っ……」

「あっ起きた?」



久しぶりに,懐かしい夢を見た。

俺には丁寧に布団が掛けられていて,リビングに行くと,そこにはご馳走が並んでいる。

そして思い出した。



「今日,もしかして俺の誕生日?」

「そうだよ? もうっ,また忘れちゃったの?」



変化の少ない日々に,時間の概念が薄いのだ,仕方ない。

でもそれはわざわざ言うことでもないと思った。



「逆に花は今年も覚えてたんだね」

「もちろん!」



まぁ俺だって花の誕生日はカレンダーでしょっちゅう確認している。

カレンダーというものはその日が何日か分からないと使えないから,俺はよくテレビをつけた。



花に誕生日を祝われるのは毎年のこと。

名前はだめでも,誕生日は父に祝われて育ったから覚えていた。


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