優しくない同期の甘いささやき
コンビニで買い物してから、電車に乗った。母に今夜は友だちの家に泊まるとメッセージを送る。

すぐにOKというネコのスタンプで返信が来た。

その画面を熊野に見せる。彼は、満足そうに微笑んだ。

うれしそうだ。私は緊張しているというのに。

熊野の部屋に入るなり、彼はシャワーを浴びてくると言った。

いきなり? とビビる私を笑い、汗を流したいからと浴室へと入っていく。

私はその間、所在なく部屋をうろついた。

私も入れ替わりにシャワーを浴びるべきよね?

同じく汗をかいたし、居酒屋での匂いもついている。きれいサッパリしたい気持ちはある。

あるけれども、シャワーを浴びるには服を脱がなければならない。

恥ずかしい……。

座り込んで、頭を抱える。


「美緒、何してる? どうした?」

「別に何も! あ……出たのね」


「うん」と言いながら、私の前でしゃがんだ熊野からは石鹸の良い香りが漂ってきた。

普段整髪剤で整えている髪は、タオルドライしただけのようで湿っている。

服も白Tシャツに紺色のスウエットパンツで、ものすごくリラックスしたスタイルだ。

そんな彼の姿に、胸が高鳴った。
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