優しくない同期の甘いささやき
祥太郎と一緒に暮らし始めた。まだ新しい生活に慣れていなくて、バタバタしている。

そんな慌ただしさを楽しんではいるけれども、他のことをする時間の余裕がまだない。

祥太郎が今まで使っていた家電をそのまま使ってはいる。足りない物(おもに食器)は、買い足している。

まだまだ生活するのに完璧だとはいえない。でも、同棲生活は楽しい。

あらためて考えると、やはり知奈とゆっくり話す時間、今はない。昼休みに話すくらいしか。

だけど、今日の昼休みも知奈とは語ることはできなかった。


「ただいま」

「お疲れ様ー」

「昼、買ってきた」

「私のも? おお、ありがと!」


祥太郎が見せてくれたビニール袋の中には、弁当が二つ入っていた。

祥太郎が外出先から戻る途中の弁当屋で、買ってきたという。

打ち合わせは、昼休み終わってすぐだから外でのんびりする時間はないと思っていたので、助かる。

気の利く彼と休憩スペースに行く。窓際の席に並んで、座って弁当も並べた。

二つの弁当の中身は違うものだった。

どっちがどっちを食べるのかな?
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