優しくない同期の甘いささやき
「どう? 進んでいる?」

「はい、昨日は資料ありがとうございました。大いに役立っています!」


私は目を輝かせて、好きな人である黒瀬さんに返事をした。

黒瀬さんは月末にあるプレゼンの参考にと、あるファイルをメールにて送ってくれた。

忙しい中で、後輩を気にかけてくれる黒瀬さんは非常に優しい。そんな優しさを何度も向けられて、好きになった。


「なにか困ったことがあったら、いつでも聞いてね」

「はい、ありがとうございます!」

「いつも元気がいいね。加納ちゃんの元気な姿に俺もがんばろうと思えるよ」


柔和な笑みを浮かべた黒瀬さんに、私の胸はキュンとなる。どんなに小さいことでも褒めてくれるから、本当に嬉しい。

私が元気にしていることが、黒瀬さんの活力になるなら能天気だと言われてもいいから、いつも明るくしていようと思う。

あなたのために、私は元気でいます!


「そうだ、今夜時間ある?」


突然黒瀬さんから誘われた。一瞬目が丸くなったけど、返事はひとつしかない。

迷いは何もない。


「時間あります! たっぷりあります!」

「アハハ、たっぷりね」
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